• 伊丹恵美

商品・技術の質と商売の成功は、別なのか?

最終更新: 4月15日

珈琲豆を挽いて飲む美味しさを知ったのは、昨年の春。

近所の珈琲豆店で買った珈琲豆が美味しく、それから興味を持ち、色々試している。

それが先日、ある地方のお店で買った浅煎りの豆の酸っぱさに耐え兼ね、酸味を緩和できないかと相談したところ、どれくらい酸っぱいのかと聞かれ「豆乳が分離するんです、ここの浅煎り豆はぜんぜん分離しないのに」というと、間髪入れずに言われてしまった。

「そりゃぁウチは、コレで飯食ってるんだから、一緒にしないでくれ」



そこから、珈琲豆屋でビルが建つのは不思議という話、そして、有名な日本のロースターのカフェブランドの話となり、店主が言った。



「商品・技術の質と、商売の成功は違うんですよ」と。


その店で珈琲豆を買ったという顧客から「あそこの豆、酸っぱいんだよね、全然膨らまないし」という声をよく聞くのだそう。



「ロースターとしての腕と商売を大きくする才能とは、別なんだと思うんです。

 その豆もそういう事なんじゃないかなぁ。もちろん、味の好みもあるとは思うけどね。」

何を隠そう、私が買ったその酸っぱい豆は、そのロースターのお店で買った珈琲豆で、ひとしきり話を聞いた後で「実は…」を打ち明けると、店内は爆笑の渦となった。


この日の店主の言葉は、とても刺さった。

私は、化粧品などの女性が好む商品・サービスに参入する企業のお手伝いをしている。 それは20代の頃、会社が参入した化粧品事業が商品は品質もよく画期的だったものの、業界の知見が無いことで失敗したことが無念で、業界で経験を積み、自分のような人を支援したいと思ったその頃の思いから。なので暴利な見積りも出さない。

しかし、お声がけ頂く中には「化粧品って儲かるんでしょ」と、大手ブランドの真似をした雰囲気のブランドを作り、SNSで映えてバズって当てたいというお話も少なくない。そういう発想の人は大概、化粧品の使用感に興味がなく、本音は利用者に興味がないのだ。


私が経験を積ませて頂いた会社は、商品の品質や効果、顧客体験の提供を真剣に考え、顧客を想像しながら、知ってもらい使い続けてもらう努力を怠らなかったし、私もそれが当たり前と思っている。 なので「バズって当てたい」という思考とは理念が合わないので、どんな提示をされても、残念ながらご一緒できない。

いま、強く支持されているブランドも、最初は一人のこだわりから始まった商品・サービス、小さな企業で、それが様々な努力によって現在も沢山のファンに支持されている。 「商品の質や技術=商売の成功」 そういうお手伝いが出来るように、この日の店主の言葉に改めて、私もこだわりを大切にしようと思った次第です。